幼稚園の年長に上がったくらいの事でした。引っ込み思案で親に甘えたがりの自分は幼稚園のお泊まり会という行事へ参加することに凄く不安を感じていました。知っている人、知っている場所ではあるのですが親の元を離れて一晩過ごす事に対する恐怖に参加したくないと散々だだをこねたりしていました。そんな中で始まったお泊まり会。みんなで夕食のカレーを作ったり、温水プールでお風呂に入ったりして案外楽しく過ごし、夜になりました。真っ暗な幼稚園の中、布団を敷いて皆で雑魚寝するのですが、どうしても寂しくなってしまった私は人知れず泣いていました。泣いている事がばれると恥ずかしいという思いがあったので布団を被って静かに並だしていたのですが、担任である先生が異変に気が付いたのか声を掛けられました。お化けが怖いとか、お腹いたのとか聞かれて首を振る私に先生はそっかぁと言うと寂しくなっちゃんたんだねって微笑みました。それから、背中をさすられながら添い寝をして貰い徐々に不安も収まりまってくると先生はお伽噺を聞かせてくれました。普段はあまり先生と喋れず、教室の端っこで少数の友達と過ごしていた私は、その時初めて先生に自分の事をよくして貰えたって印象を抱き嬉しかったのが、今でも鮮明に残っている思い出です。