私に「物を作る楽しさ」を教えてくれた幼稚園のあばあちゃん先生

私は幼稚園の頃、おさげをした太り気味の女の子だったので男の子に髪の毛を引っ張られたり、女の子達から酷い扱いを受けるようないじめられっ子でした。先生もそんな私のことをやっかい者のように感じている感覚は子供ながらにあって、正直幼稚園をあまり楽しいと思えたことはありませんでした。でも、そんな私にも唯一幼稚園での楽しみがありました。それは、絵を描いたり、折り紙をしたり、工作をすることです。絵を描いている時や工作をしている時はいじめてくる子達も作業をしているので、あまり関わってくることがなく、人目を気にすることなく一人作品を作ることに没頭できたので私にとってはそれが幼稚園での唯一の楽しみでした。そして、今でも忘れられない思い出があります。私が年長さんの時に外部から美術の講師を招いて粘土作品を作る日があったのです。いつもは幼稚園の先生がお絵かきなどを教えてくれるのですが、なぜか年に数回だけ外部の講師の先生が来る機会があったんです。田舎の幼稚園だったのでそうした機会はとても貴重だったと思います。その日の先生は腰の曲がって眼鏡をかけたおばあちゃん先生でした。そして、その日は陶芸に使うような土の材質の粘土を使って動物を作るというような内容だったと記憶しています。私はとなりのトトロに出てくる猫バスが大好きだったので、固い粘土も新鮮に感じながら、手が汚れるのも気にせず一生懸命自分の思う猫バスを作りました。私は教室の隅っこの方で黙々と作業していたのですが、そのあばあちゃん先生が最後に見回ってくれていた時に明らかに他の子と違うリアクションで「まぁ!あなたの作品とっても素晴らしいわ!」「こんな作品今まで見たことない!お写真撮ってもいいかしら?」と、もの凄く褒めてくれたんです。そして、本当に私だけ一緒に写真を撮ってくれました。いつもは他の子にいじめられてばかりで、クラスでもぱっとしない私をおばあちゃん先生はものすごく褒めてくれたことを私は今でもとても感謝しています。私は小学校や中学校になってからも図工や美術の成績がとても良かったのはきっとそのおばあちゃん先生のおかげだと思います。残念ながら教えに来てくれたのはその日の一回だけでしたが、私にとってはずっと忘れられない思い出になっています。今はどこで何をしておられるのかも分かりませんが、大人になっても私は娘の髪飾りを作ったり、自分のアクセサリーを作るような手先を動かすことが大好きな人間になりました。娘にも「物を作る楽しさ」を伝えたくて、一緒に絵を描いたり、折り紙をする時間を大切にしていきたいと思っています。おばあちゃん先生どうもありがとうございました。